td2sk の日記

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穢翼のユースティア 感想(ネタバレ有)

今更ながら本編クリアしたのでネタバレ込みの感想を。
点数付けると89/100点

穢翼のユースティア 初回版

穢翼のユースティア 初回版

はじめに
SF(S:すこし F:不思議)好きの自分にとって、オーガストはマストバイ。
ダークな雰囲気だろうが面白ければ結構、というスタンスで、購入前から期待は高まるばかり。
明るい雰囲気の学園物という点にはあんまりこだわりないしね。
以下の評価もそんな視点から。

良かった点
・ストーリー
序盤からぐいぐいと引き込まれた。止め時が見つからなくて暫く寝不足になるぐらい。
今までの作品では、真ルート以外は割とほのぼのした、悪く言えば間延びした展開が多かったように思う。
今作は分岐の構成変更もあってか最初から最後まで面白い。オーガスト史上最高傑作だろう。

・キャラクター
男女とも魅力的な登場人物ばかり。嫌いなキャラが全くいないというのも珍しい。
声優さんの演技も含めて、ストーリーへの没入度を大きく上げている。

・システム、絵、BGM等
安心のオーガストクオリティ。
UIは癖もなく完成されてる。プレイヤーにストレスを感じさせない細かい配慮は流石というべきか。
べっかんこうハンコ絵もいつも通り綺麗でよろしい。背景も文句なし。
この辺でマイナス評価がないので、ゲームプレイに安心して没頭できる。

悪かった点
・ティアルート
ハッピーエンド至上主義者じゃないので、結末自体に不満は少ない。
気になるのはそこに行き着くまでの過程。
最後は助けにいくんだろ、というのは誰でもすぐに分かること。その割に主人公の苦悩を引っ張りすぎたかな。
パッと決断できないような大きな問題ではあるのだが、主人公としては物分りが良すぎる感じ。
殆どニート状態で悶々とする主人公を延々と見せられてもなー。
悩む時間もなく武装蜂起に巻き込まれていくだとか、これまでの登場人物が大活躍するようなシーンを増やしてやるとか
いくらでも改善しようはあっただろうから余計に勿体無く思える。

もう一つ言えば、登場人物総出演の割に、ティアルートの肝になる数人以外の出番が少なめ。
魅力的なキャラクターの活躍を楽しめる最後の章として、少し物足りなさがあったのも事実。

・広げた話の収束のさせ方
オーガストは締め方苦手なのか。
前作FAの真ルートも、風呂敷広げた割に畳み方がしょぼかった。
今回は話のスケールがでかい分、決着への期待も相当大きくなるわけで。
プレイヤーがきっと一番最初に想像するだろう
ティアが犠牲になり、浄化された大地に人類が帰るオチ」(要反転)でそのまま終わったのはなんとも。
なるほどそう来たか、という物があれば良かった。

あるいはティアルートだと思うのが間違いか。
後から振り返ってみれば、ルキウスルートだと思えばアリかも。

・個別ルートの後味の悪さ
個別ルートは非常に幸せな結末なんだが、プレイヤーは真ルートを終えた後で、それらが仮初の幸せであることに気づいてしまう。
一応、問題なく世界が回っているような描写はあるが、どう考えても都市の行く末を明るい方向に想像できない。

フィオネルートなんか、本編とは違って治癒院すら放ったらかしでルキウス任せだし。兄さん泣くぞ


その他雑多な感想
・ガウ
カイムに執着していた割には2対1で倒されたりヴァリアスと相討ちだったりと、わりかし不憫
ギルバルトと一緒に退場するには惜しい魅力の持ち主。FDに期待していいんですかね

・ギルバルト
プレイ中はすごい小物臭を感じてた。振り返ってみると、彼の行動はカイムと何ら変わらないんだよな

・ラヴィリア
どんだけ可愛いんだこの娘
おいしい役回りだし準ヒロインだし

・中盤の崩落
親しかった人が何の前触れもなく消える虚無感は
プレイヤーにとって、昔話として語られるだけの大崩落の恐ろしさを実感させるいい演出だったと思う。
でもやっぱり「メルトの死」(要反転)はショック

・選択肢が多い割に、意味がない
鍵になる選択肢以外は、直後のテキストが微妙に変わるだけ。なくても良かったんじゃ

・世界観を支える設定など
少し不思議物フリークとしては、研究所や福音、粘液の謎はもうちょっと掘り下げて欲しかったところ
他にも、都市の大きさやら人口やら、リアリティを出すためにもう少し推察できる描写があればよかったか。

・ザル警備
大聖堂から聖女連れ出したり単身王女救出したり、カイムさんどんだけー

まとめ
オーガスト作品は毎回安定した質を誇るだけに、プレイヤーとしてはどうしても期待が先行してしまいがち。
今作はその高いハードルを見事に超えてみせたと思う。
次回作、この路線が継続しようがかつての路線に戻ろうが、オーガストはこれからもマストバイ