td2sk の日記

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PC用4Kディスプレイを選ぶ際に確認すべきこと

免責

本記事は30分ほどで走り書きしたため、抜け漏れ間違い重複などが多数存在していると思われる。
内容に問題があれば、コメントをいただければ幸いである。
実際の購入の際には、各自よく調査したうえで、自己責任で購入すること。
筆者は一切の保証をしない。

はじめに

4KをPCで利用する際の最低ラインとして、以下を要求する。

  • 4K60p 対応であること
    • 3860 x 2160 ピクセルが正確に表示されること
    • 秒間60Hz 以上のリフレッシュレートであること
    • プログレッシブ表示が可能であること
  • 文字が滲まないこと
  • 4Kの広大な解像度を全て作業領域として使えること
    • DPI 100%で常用できること

また、ディスプレイでは要件を満たせない場合も多々あるため、テレビをディスプレイとして使用する場合の注意点も記載する。

スペック

そもそもPC側に4K60pの出力機能が必要である。最近は Intel HD Graphics でも 4K60p が出力できるようなので、通常作業にはそれで問題ないだろう。IntelのCPUスペックのページに最大解像度の記載があるので、基本的にはそこを参照すればよい。*1

4Kゲーミングを目的とする場合、相当軽いゲームでもなければほぼ確実に高性能なGPUが必要になる。GPUの最大出力解像度は各メーカーの製品仕様ページを参照すること。ただ、GTX1080クラスのGPUでも、ハイエンドタイトルを最高設定で動かそうとしても60fpsが出ないことは理解しておこう。
自分の遊びたいゲームが十分快適に遊べるか各種ベンチでよく確認しておき、場合によってはゲームのレンダリング解像度を2Kなどに落とすことをお勧めする。その場合、本当に4Kディスプレイを買うべきかについてもよく考えた方がよい。

接続方式

4K60p をやりとりできる規格は

  • HDMI 2.0 以上
  • DisplayPort 1.2 以上

となる。そのため、PC、ディスプレイ双方に対応する端子が必要である。

HDMI 端子は広く普及しているが、HDMI 2.0 非対応であるものも多い。PC、GPU、ディスプレイなどそれぞれについてよく確認するべき*2。場合によっては1端子のみHDMI 2.0、その他はHDMI 1.4などというケースもありうる。

一方 DisplayPort は普及の度合いからは多少劣る。テレビを選ぶ場合は、まず搭載されていないと思っていい。GPUやPC用ディスプレイではこちらの端子が多くついている場合があり、またHDMI端子はゲーム機などが使うことを考えると、PC側ではDisplayPortを選んだほうがよい場合もある。
4096x2160や5Kなどのさらに高い解像度を使う場合は、DisplayPortしか選択肢がない。

ゲーム機などを接続する場合、端子数が十分にあるかも確認しておこう。

HDMI と DisplayPort の変換ケーブルで 4K60p 対応のものは非常に少なく、また高価であるため、おすすめしない。

備考

NVIDIAGPU で DVI 端子が搭載されている一部のモデルでは、なんと DVI-HDMI アダプタを搭載することにより、DVI端子を HDMI 端子として使うことができる。DVI端子を経由して音声も送信できるのである。HDMI端子が1つしかないGPUで、HDMIを2系統使いたいときに地味に便利であるので、覚えておいて損はない。


信号タイプ

色信号のフォーマットにはYCbCr444, YCbCr422, YCbCr420, RGB(24bit)などがある。
詳細な説明は省くが、PC環境ではRGBを推奨する。YCbCr422やYCbCr420のフォーマットは情報量を落としているので、PCが出力したピクセルを正確に再現できない。そのため、文字がにじむことになる。

4K対応といいつつ、60Hz表示ではYCbCr420しか使えないという場合もあるので、PC側、ディスプレイ側双方で必ず確認すること。

疑似4K

ペンタイル配列のように、1ピクセルにRGBがそろっていないパネルが存在している。映像用にはそれほど気にならないだろうが、PCでは文字の滲みが発生するためおすすめしない。
主にLGのローエンドモデルに見られる。

FreeSync/FreeSync2/G-Sync

一般的なディスプレイのリフレッシュレートは60Hz固定である。そのためGPUがもっと早い速度で画面を生成しても表示には結びつかない。一方でGPUの描画が遅いとティアリングが発生したりする。
FresSync系のテクノロジでは、画面の更新をGPUの準備完了に合わせて柔軟に変えることで、早いGPUでも遅いGPUでもより快適な体験が得られる。

G-Sync は NVIDIA 系、FreeSync は AMD系であるが、G-Syncはディスプレイ側に専用ICが必要らしく、対応モデルが非常に少ない。
FreeSyncはそこそこ対応モデルがあり、標準規格としてDisplayPortにも組み込まれた*3が、最近新しく互換性のないFreeSync2が発表された。

対応モデルは全体的に少ないので、将来性を気にするよりも、必要に応じてGPUなりディスプレイなりを、もう片方に合わせて買えばいいだろう。

DPIとインチ数

4K解像度をそのまま使う(DPI 100%)の場合、画面サイズもある程度必要になる。

例えば27インチ4Kの場合、文字の物理的なサイズは13.5インチフルHDディスプレイと同等なので、ノートPCのような距離感ではともかく、ディスプレイとしてある程度離れて使うには細かすぎるかもしれない。

43インチ4Kであれば、文字サイズは21.5インチフルHD相当であり、十分実用的である。

一方で43インチ超の場合、画面横幅が1メートルを超えてしまい、画面全体を見渡すのが大変になってしまう。
そのため、このような用途では27インチ〜43インチが限界だと思われる*4

パネル

液晶ディスプレイの表示方式としてはIPSとVAが多い。特に安価なモデルではTNもある。
IPSは主に広い視野角を持ち、どの角度からでも色合いがほとんど変化しない。一方でコントラスト比が低く、黒の表示は苦手としている。VAはその逆で、視野角が多少狭いがコントラスト比が高い。TNはさらに視野角が狭いが、応答速度が速く、価格も安い。

ディスプレイをいろんな角度から見たい場合*5、VA、TNは避けた方がよい。また、正面から見る場合でも、40インチ級のモニタを使う場合、画面の中央と画面の端では視線の入射角が大きく変わるため、VAや特にTNだと視界の端の色味が変わって見える場合がある。これらは購入前に、実機で確認した方がよい。

非正方形画素

一部の液晶パネルでは、製造上のコスト削減のため、画素が正方形でないものがある。そうすると、画面全体の縦横比も同様にわずかにずれた形となる。

典型的なのは40インチ(実寸39.5インチ)のもので、本来16:9である縦横比が20:11になっている。映像用途では気にならないだろうが、PCモニタとしてはおすすめできない。
参考: 液晶パネルの新サイズ - Capriccioso Assai

RGBとBGR

一般的なディスプレイでは、各色は1ピクセルの中にRGBの順に詰まっているが、ときどきBGRの順になっているモニタがある*6。ほとんどの用途では大きな影響はないはずだが、画像などRGB前提で作成されたコンテンツは、意図とはことなる見え方になる場合がある。フォントのレンダリングについては、OSの設定でBGR配列ディスプレイに対応可能であるため、影響はないはずである。

グレア

画面の反射具合で、カタログには以下三通りのどれかの記載がある。

  • グレア
  • ハーフグレア
  • ノングレア

グレアの方が見た目が綺麗だが、照明や自分の顔などの映り込みが激しい。
ノングレアはのっぺりした表示になるが、PCディスプレイ用途では見やすいだろう。
ハーフグレアはその中間。最近はハーフグレア相当のモニタでもカタログ上ノングレアとなっている場合があるので注意。

好みの差が激しいところなので、実機でよく確認すること。

テレビと遅延

40インチ超の4Kの場合、選択肢としてテレビも候補に入ってくる。基本的にはディスプレイとして使えるが

  • DisplayPort 搭載モデルはほぼない
  • 独自の映像処理エンジンにより、PCモニタより遅延が大きい

といった点に注意。
特に遅延は40~70msecと結構大きいので、用途によっては不適切。できれば低遅延を謳っているものを選べるとよいが、ここは用途次第。

東芝など、ゲーム対応を謳っているモデルでは、映像エンジンのモードを変更することで、遅延を小さくすることができる。

設定

4K60p、 RGB 対応のGPUとディスプレイを用意しても、標準では別モードで動作していることがよくある。
そのため、ただ接続しただけでは、文字が滲んだり、リフレッシュレートが低いままだったりする。
各種設定表示画面や購入者レビューなどで、どう設定し確認すべきか、環境ごとに調査が必要である。
例として、東芝のテレビ43G20Xの場合は、以前の記事 大画面4KテレビをPCディスプレイとして利用する際に考慮すること に記載がある。

まとめ

4Kディスプレイはまだ一般的ではなく、細かい落とし穴が多数存在している。
この記事が快適なデスクトップ環境構築の一助となれば幸いである。

参考文献等

(TODO 追記)

*1:PCメーカーの仕様表には4K60p対応について明示していない場合がよくある

*2:ノートPCなど、記載がない場合はたいてい4K非対応である

*3:Adaptive-Syncという

*4:DPI 200%など、Retinaディスプレイのように使う場合はこの限りではない

*5:ソファで横になって動画を見る、など

*6:4K43インチ界隈で最も人気の Philips のモデルなど